キザイア・ジョーンズ

tonko_hard2009-12-22

キザイア・ジョーンズの音楽に出会ったときの衝撃と喜びをなんと言えばいいのだろう。まるで打楽器のようなカッティング、強靭にうねるリズム。混沌としたサウンドを切り裂く稲妻のようなギター。明らかにアメリカ的じゃない、「アフリカ」の熱気を感じる歌唱。。

キザイア・ジョーンズは、ヨルバ族の酋長でナイジェリアでも有数の資産をもつ家に1970年に生まれる。8歳の時に英才教育を受けるべくイギリスに渡るが、18歳の頃親の反対を押し切って音楽活動を始める。1992年デビュー・アルバム「ブルーファンク・イズ・ア・ファクト (Blufunk Is A Fact!) 」を発表する。
(以上、キザイア・ジョーンズ unofficial fansiteを参考にしました。バイオグラフィの詳細、ディコグラフィ、歌詞など、興味のある方はチェックしてみてください。)

1stも十分かっこよく、衝撃力もあるのだが、比較的耳に馴染んだファンクに近い。爆発するのは2nd。ジミ・ヘンドリックスの強い影響(モノマネではなく)が感じられる。そして1stよりさらにアフリカ的になる。呪術的なリズムの繰り返しは同郷のフェラ・クティの影響だろう。2002年にはフェラ・クティのトリビュート・アルバムに参加している。上記サイトの「キザイア語録」によると、彼はジミとフェラ・クティについてこう語っている。

最初の何年かは好きじゃなかったんだ。ところが、ある時を境に好きになった。その頃までにいろんなタイプの音楽を聴いていたから、彼のサウンドがどこから来たのかを理解できるようになったんだと思う。彼のパワー、たった1人の男からでる計り知れないパワーに惹かれたんだ。

ジミ・ヘンドリックスみたいにプレイする』ことには意味がないと思う。ジミには、オリジナルなものを生み出し、自由な表現を獲得した人間としての面から、精神的な影響を受けているんだ。彼は生前にはたった4枚のアルバムしか出さなかったけど。ジミと僕とは生き方の面で共通する姿勢を持っていると思うんだ。

多分フェラに影響を受けていると思う。彼のグループはクリスマス・イヴや大晦日とかに家に来て、いくつものパーカッションを叩くってような音楽をやるんだけど、それが何のためなのかはずっと知らないで、いつの間にか親しんでいたんだ。彼らは独特なリズムを持っていて特殊な音楽なんだけど、僕はそのリズムに影響されたんだと思う。そう、僕にとってフェラとはリズムなんだ。

フェラ・クティからの影響はあるよ。でも音楽的っていうより、彼の生き方自体に影響を受けてる。もっと若い頃、彼の人間に対する感じ方に影響を受けたよ。当時、同じように、僕たちの年頃の人達がたくさん影響を受けてた。(中略)サウンドは複雑で、とにかく巨大だ。彼はアフリカ音楽をまったく新しいものにしたんだ。彼の影響は大きいね。

キザイア・ジョーンズはこのあと2枚のオリジナル・アルバムを出しているけど、最初の2枚ほどにはグッとこない。なぜかおとなしくなってしまった感じがする。もしかしたらわたしの聴き込みがが足りないのかもしれないけど。1枚目と2枚目の間に出たライブ盤はすごくいいです。このライブはドラムが日本人だったんですがこれがまたいい。

キザイア・ジョーンズを聴く機会があったら、小さな音でチマチマかけないでぜひ大音量で。ムリならヘッドフォンでどうぞ。だんだん頭がグリグリしてきて、お酒がなくても酔っ払ったようなナチュラル・ハイと、突然落ち込むドロドロ感が味わえます。お酒飲みながらならそれはそれで更にヤバイ境地に達するかも。

ブルーファンク・イズ・ア・ファクト!

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アフリカン・スペース・クラフト

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